医療・薬業 如水会
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ごあいさつ

この度、名誉会長に就任致しました。会長就任中は、本会会員のみならず、オープン形式での研究会等、業界の発展のため尽力してまいりました。医療・薬業は、科学から金融に至る幅広い事業インフラストラクテュアの上に成り立っています。したがって、本会は、医療・薬業に従事する如水会員のみならず、ベンチャーからファイナンス等に至る卒業生にご参加頂きたいと、改めてお願いする次第です。今後ともご協力の程宜しくお願い申し上げます。

さて、本会のみならず、日本全体の2012年の課題と対応についてご挨拶方々申し述べたいと思います。

日本の全歴史を通じて経験したことのない年になります。それは、2011年3月11日の福島第一原発事故によってもたらされました。

福島第一原発には、2011年3月11日の時点で、7億2千万テラベクレル(東電発表)という想像を絶する総放射線量の放射性物質がありました。といっても、その危険性を理解できる人はほとんどいません。しかし、チェルノブイリ原発事故の約150倍、或いは広島原爆の約10万倍といえば少しはピンとくるかもしれません。

もう少しわかり易いのは、福島第一原発によってつくり出されたプルトニウム239で殺すことができる人の数かもしれません。福島第一原発が産生する1日の量で約1,500億人を殺すことができます。40年間(50%稼動)とすると約1,000兆人です。1,000兆人とは数が大きすぎてわかりにくいと思いますが、これは、世界中の人を10万回以上殺害できる数です。

このような膨大な放射性物質(放射能)が2011年3月11日に環境に放出されました。陸に約10%、海に約90%と推定されます。文科省が漸く発表した日本の陸地汚染を見ると、東京を含む関東以北の地下水は、全滅することが容易に推察されます。近い将来この地域で生産される食品はすべて食糧に適さないという判断がされると考えられます。発表がされることはないと思いますが、既に日本では科学的な根拠が脆弱な“暫定値”(ベクレル表示)を設定することによってしか関東以北で生産された食品の多くは、食糧に適するといえない状況に陥っていると思います。世界の厳しい方の暫定値は、日本の1/5〜1/10となっています。この基準で線を引けば、今流通している食品の多くは、廃棄処分されることになります。

福島第一原発事故による環境汚染は、24万年以上(プルトニウム239が1/1,000の放射能レベルになる時間)続きます。しかも、世界中に広がっていきます。海に流された放射性物質は、既に徐々にハワイ全島そしてアメリカ西海岸に達し、太平洋全域の魚介・海藻を食することができなくなります。太平洋側の日本の魚介類は、今、検査をしていないから食品になっているのが現状です。まともな検査をしたら、もっとも危険な食品であることが判明するはずです。

2012年の日本の全産業そして全人口は、このような自然環境の中に立地しています。ほとんどの企業人は、多くの日本人と同様、この現実に目を向けようとしません。提示(公知)されている“原発の数値”が訴えていることに対し無視を決め込んでいるのかごとくです。何故でしょうか。答えは簡単です。福島第一原発の事故を過小評価する方が“楽”だからです。別の言い方をすると、安全だと思いたいからです。しかしそれは“幻想”です。そして原発に関して自分が思っていたことのすべてが幻想であったことを不幸にして5年後位にわかることになり、後悔することになります。しかし、残念ながら、それでは時すでに遅しです。

以上より、2012年の日本の課題は、明確です。円高でもTPPでも原油高でも温暖化(※)でも少子化でもありません。放射能リスクとどう向き合うかです。これがすべてに優先して考慮され検討されなければなりません。

原発と原爆は、同じ科学原理(核分裂:ウランに中性子をあてる)によります。その違いは、電気(原発)を目標とするのか、破壊(原爆)を目指すのかだけです。原発は熱で水蒸気を発生させ、タービンを回して電気をつくり、原爆は熱と爆風で生命を破壊します。原発も原爆も共に死の灰(核分裂生成物)などの恐ろしい放射能をつくります。原発はそれが環境に絶対に放出されないという“安全神話”を担保に推進されました。しかしながら、2011年3月11日にそれは崩壊しました。

福島第一原発事故の後、まだ“安全神話”を信じている或いは信じ込まされている日本人、そして、その事故を過小評価している日本人、さらに、もう2度とこのような事故は起きないと信じている日本人は、2013年には、その幻想の高い代償を払うことになるでしょう。

今年、日本人が“直ちに”すべきことは、すべての原発を先ず止めることです。そして、すべての食品の放射線検査と科学的な根拠の見える“暫定値”を国民の合意のもとにつくることです。




よく聞く幻想1:広島はペンペン草さえ生えることがなくなるといわれていたのに見事復興した。
福島第一原発では、毎日15発の広島原爆を20年以上一日も休まず落としたのと同じ量の“死の灰”が環境に放出されました。広島原爆は、福島第一原発事故の1/100,000(10万分の一)です。

よく聞く幻想2:世界中で行った核実験によって放出された放射能によっても大した被害が出なかった。
1945年〜1995年までに行われた核実験は、約2千回です。プルトニウム239換算で試算すると、この全量は、福島第一原発事故の約1/100(百分の一)です。

よく聞く幻想3:世界中にある核爆弾の方が危険。
全世界には、ピーク時に約2万4千発の戦略核弾頭数がありました。これをすべて爆発させても、福島第一原発事故時にあった死の灰の1/10にしかなりません(爆熱・爆波などは別として)。

よく聞く幻想4:50代以上の人、我々はもう年だからいいけど若い人が気の毒。
老人の生殖(子供をつくる)活動は限られているから、奇形をつくる可能性が低いという意味ではその通りです。しかし、細胞がダメージを受け、ガンなどの病気の可能性でいうなら、老若はほとんど関係ありません。50代以上の方がガン化した細胞が生き残り悪化する可能性が高いのです。

よく聞く幻想5:福島県のような放射線量の高いところにいないから安心。
全くの誤りです。体外(外部)被曝(ほとんどがガンマー線)より体内(内部)被曝の方が1兆倍も危険です。体内被曝は、主に呼吸、飲み水、食物摂取により、体内に入ったアルファ線およびベータ線(ガンマー線よりはるかに危険)を放出する放射性物質の生涯にわたる被曝を受けることです。体内被曝は、日本中どこにいても、食品を食べている限り余り変わりません。

よく聞く幻想6:CO2の排出増加によって地球は温暖化に向かっている。(※)
科学的な事実は、地球の温暖化が先行し、CO2の増加は温暖化を後追いしています。過去5,000年位のデータから、今地球は寒冷化に向かう入り口にあると考えられています。これは太陽の磁場活動が弱まることにより宇宙線が太陽にまともに入ってきて雲がたくさん出て地球の気温が下がることによります。

所源亮
名誉会長 所 源亮
昭和47年 経済学部卒業
アリジェン製薬株式会社 代表取締役